職能資格制度の今後の方向

人事育成特別委員会委員長 竹中 統一(竹中工務店社長)
職能資格制度専門委員会委員長 福井 人巳(日本ハム専務取締役)

要約

委員会の設立経緯

これまで日本の人事制度の中心的役割を果たしてきた「職能資格制度」に対して、近年、年功的な運用がもたらす「賃金と能力のミスマッチ」や「課題形成能力や専門性の評価が困難になる」等、様々な問題点が指摘されるようになってきている。

そこで本会では「職能資格制度専門委員会」を設置し、同制度がこれまでに果たしてきた役割を整理すると共に、今後の方向を研究することとした。

概要

第1章 はじめに

経営環境の変化
・バブル経済の崩壊 → 右肩上がりの経済成長の終焉

経営戦略の変化
・経営目標と経営資源の「選択と集中」へ
人事制度改革の広まり → 職能資格制度の見直しの検討
※職能資格制度のメリット
1.各社の人材ビジョンを制度設計に具体化
2.従業員への経営側の期待度の明確化
3.各自の能力開発の指標
4.従業員の一体感の醸成とロイヤリティー向上の促進

第2章 資格制度・職能資格制度の変遷

年代 主な資格制度 特徴
昭和25年頃〜40年頃 職務等級制度等を模索 ・「職務等級制度」「職務給」を導入→失敗
昭和40年代 職能資格制度の登場 ・「能力主義管理」→「職能資格制度」の登場
高度成長期 職能資格制度の定着 ・各社で「職能資格制度」の導入が進む
オイルショック期〜バブル期 問題点の表出 ・オイルショックによる経済の低成長→問題点が表出→各社で改定が進む
バブル崩壊〜現在 職能資格制度の見直し ・「成果・実績主義」が広まる
→同制度の見直し、新制度の模索

第3章 職能資格制度の問題点の表出

  問題点
1.賃金・賞与 ・「職能給」の年功的な運用
・仕事(役割)の変化に能力要件(職能資格基準)が対応できていない。
・賃金と能力のミスマッチが発生
2.昇格 ・成績優秀者の最短昇格、飛び級昇格が困難
・降格の規定がないことが多い
・長期勤続の中高年者が増加すると人件費が高騰
3.職能開発・育成 ・「課題形成能力」を充分に評価できない
・個々の従業員の専門性を評価することが困難
4.配置・異動 ・今日でも有効に機能
・採用形態の多様化により特徴が活かしきれない場合あり

第4章 職能資格制度改定への取り組み

今後は、職能資格制度によって培われてきた「人基準」による人事管理のメリットを残しながら、各社の抱える問題点に応じて、これまでの、「人基準」による人事管理をより厳格に運用することや、徐々に「仕事基準」を付加していく取り組みが必要。

(職能資格制度改定への取り組み例)

  役割基準付加型 ブロードバンド型
特徴 ・「能力等級」に「役割等級」を付加 ・ブロードバンド化により厳格な昇進昇格管理を実施
  職群別複線管理型 資格基準明確化型
特徴 ・職能資格等級を職種ごとに設ける
・職種ごとの専門性を評価し処遇に反映
・資格基準の内容を明確化し能力考課に活用

以上

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